【雇用保険】自己都合退職の給付制限などが変わります

こんにちは、宗谷・稚内の社労士、はまなす社会保険労務士事務所の日野です。

先の通常国会で雇用保険法の一部が改正され、5月17日に公布されました。今年の10月から令和10年10月の4年間で、主に育児休業関連の給付などが大きく変わることになります。

改正点はいろいろあるのですが、私が注目しているのは次の2つです。

1)自己都合離職者の給付制限が原則1か月に(令和7年4月から)

会社の都合でなく、自分の都合で仕事を辞めた場合、今は原則として基本手当(失業手当)をもらうまで2か月待たなければなりません。それが来年の4月からは、ハローワークで手続きをしてから原則1か月で基本手当の受給が始まります。以前は3か月待たねばなりませんでした。それが長すぎる、という指摘があり令和2年から2か月になり、ついに1か月に短縮されます。

2)週10時間の労働で雇用保険が適用に(令和10年10月から)

今は週の所定労働時間が20時間以上の人が雇用保険の対象になっています。それが令和10年からは週10時間以上で雇用保険が適用されることになり、給与から雇用保険料も引かれますし、離職したとき条件に当てはまれば基本手当(失業手当)をもらえることになります。
例えば、週3日、1日5時間だけパートで働いている、という人がいるとします。このパターンだと週の所定労働時間は15時間なので、今は雇用保険の対象にはなっていません。しかし4年後の10月からは雇用保険が適用されることになります。

雇用保険法はもともと、改正がすごく多い法律です。人々が働くかたちがどんどん多様化するのに合わせるためなのですが、制度改正が追いついてないのでは、と思うこともしばしば。上に挙げた2点も、人々の働き方に大きなインパクトを与える改正だと思います。厚生労働省によると、2)の適用拡大により、新たに雇用保険の適用対象となるのは最大で「約500万人」の見込みだそうです!

 

【最低賃金】40円アップ! 北海道の最低賃金が960円に

こんにちは、宗谷・稚内の社労士、はまなす社会保険労務士事務所の日野です。

秋のお彼岸が過ぎると10月、つまり最低賃金改定の季節です。2023年10月から北海道の最低賃金は、なんと一気に40円も上がって960円になります。去年、31円アップで驚いた、とこのブログに書きましたが、それを上回る上がり幅が翌年に実現するなんて…。想像もつきませんでした。

最低賃金が上がるときに重要なのは、基本給アップが必要な従業員がいないかの確認です。
例えばフルタイム(1日8時間、週休2日)で働く従業員の場合、

 月間の所定労働時間 174時間 × 960円=167,040円
基本給と手当(通勤手当等は含まない)を合わせてこの額を下回っていたら、10月から対応する必要があります。また、新しく採用した従業員の給料も安易に「月16万ぐらいでいいかな」などと決めてしまうと法律違反になってしまうので注意が必要です。

最近の日本では「人手不足倒産」のニュースを見聞きすることも多くなってきました。以前は働き手を確保できていたコンビニや外食産業でも危機感があるのか、稚内のセイコーマートやマクドナルドでも時給1,000円での従業員募集の掲示を見かけます。それぐらい払わないと働いてもらえない時代になってきているのですね。

マクドナルドといえば、アメリカの店舗で働く人の時給は現在、平均で約12ドル30セント(1,838円)だそうですが、来年4月からはカリフォルニア州のファストフードチェーン従業員の最低賃金は20ドル(2,981円)になり、2029年まで少しずつ上がっていくことが決まっています。時給20ドルでも仮に1日8時間、月20日働いたら476,960円です。

また、アメリカのアマゾンは最大の繁忙期であるクリスマスの時期にフルタイム、パート、季節雇用合わせて25万人を雇用する計画ですが、時給は配属先によって17ドル(2,533円)から28ドル(4,170円)。最大3,000ドル(447,000円)のボーナスも用意しているそうです。小売大手のTARGETやMacy’sでも、クリスマスに向けて雇うアルバイトの最低時給はいずれも15ドル(2,235円)という記事も見ました。

日本の賃金相場から考えると破格の条件に思えます。ちょっとアメリカ行って稼いでくるわ、と言いたくもなります。しかしアメリカは物価も高く、アパートの家賃や自動車保険やガソリン代など生活費も高コストです。外食も高くつきます。収入は低くてもそれなりに暮らせて、サイゼリヤでお腹いっぱい食べても1,000円で済む日本とどちらがいいのでしょうね。

 

【セミナー講師】名寄へ行ってきました

先週の暑い日、名寄市へ行ってきました。上川総合振興局による「上川地域多様な働き方支援・人材定着促進事業」の一環で「人材獲得に向けた各種実践手法セミナー」講師を拝命したためです。

私の講義のテーマは「雇用環境の改善」で、
・雇用環境を整えるためには欠かせない労働基準法の基礎知識
・育児休業法の改正
・ハラスメント防止法の概略
・女性が働きやすい職場づくり
などについて約30分、お話させてもらいました。

セミナーとなると準備の時間もそれなりに必要で、今月はじめからほのかに緊張していたのですが、特に法改正の部分などもう一度おさらいすることで自分自身の勉強にもなりました。社労士の繁忙期ではありましたが、この仕事を引き受けて本当によかったと思います。

人前で話すことは「わかりやすくしなくては」「笑顔で、ゆっくりと」「自分がちゃんと理解してないとダメ」などプレッシャーも大きいのですが、セミナー講師の仕事はとてもやりがいがあり、もっと数をこなしたいなという気持ちが今では大きいです。(講師のご依頼お待ちしております!)

稚内から名寄までは片道170キロで、時間にして約3時間です。名寄はイオンがあって買い物が楽しく、景色も綺麗で大好きなまちなのですが、今回は時間がなく名寄名物の大福餅を買えませんでした。しょんぼり…。でも私は見つけてしまったのです。稚内のスーパーCITYで名寄の大福餅が売られているのを! 今後、名寄のお餅が食べたくなったらCITYへ走ろうと思います。

 

【令和5年3月〜】健康保険の保険料率が変わります

こんにちは、宗谷・稚内の社労士、はまなす社会保険労務士事務所の日野です。
稚内はすっかり春めき、家のまわりの雪もどんどん溶け始めています! 暖かくなってきて嬉しいです。

さて社会保険労務士の春の風物詩といえば「健康保険の保険料率変更」と「36協定届出」。毎年4月に変わる健康保険の保険料率は、今年は3月から変更になっているので注意が必要です。北海道の保険料額表はこちら(PDFファイル)。

具体的には、介護保険料を納める必要がある被保険者(40歳〜64歳)の健康保険料は少し上がり、それ以外の被保険者の料率は少し下がっています(北海道の場合)。厚生年金の保険料率は変わりません。

また4月からは雇用保険の保険料率も全ての事業でアップすることが決まっています。厚生労働省からの案内はこちらです。

電気代は爆上がり、ガス代も上がって家計を圧迫しまくっているというのに、健康保険も雇用保険も保険料がアップ。食料品や日用品もどんどん値上げが続いて、何もかもが上がっていきますね。イヤになります。絶望です。ただ大企業を中心に賃上げのニュースも増えてきました。日本の景気も急カーブを描いて上昇してほしいものですね。

 

メンタル不調者の復職対応

こんにちは、宗谷・稚内の社労士、はまなす社会保険労務士事務所の日野です。
年が明け2023年になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

中小企業事業団から隔月で送られてくる「ネットワークインフォメーション中企団」を楽しく読んでいるのですが、2022年12月号に掲載されていた「メンタルヘルス不調による休職・復職対応(第3回)」がとても興味深い記事でした。中企団のHPでも公開されています。(PDF、p.18)

産業医である連載担当の鈴木健太医師によると、メンタルヘルス不調で休職していた従業員が復職し、安定した業務ができるには5つの条件があるそうです。以下に引用します。
1. 睡眠生活リズムが2週間以上安定していること
2. 決まった勤務日と時間に継続した就労が可能であること
3. 業務遂行能力が回復していること(集中力の回復、翌日までに疲労回復可能など)
4. 休職に至った職場側の原因が改善していること
5. 休職に至った本人側の原因が見直されていること

メンタルを患い休職していた従業員は一般的に、
「ずっと休んでいると職場に迷惑をかける」
「このまま永遠に職場に戻れないかもしれない」
「休職が長引けば自然解雇になってしまう」
このような焦りから復帰を急ぎがちで、主治医の復職診断書を提出しても実際には業務に耐えられるレベルに戻っていないことがあります。こんな場合、会社側としては、本人は戻りたいと言っているが戻して仕事をさせてもいいのかどうか、判断に迷うところです。ときとして「もう少し休んでいなさい」と会社側が復職を止めることもあり得ます。

ひとくちにメンタル不全といっても症状は人それぞれであり、雇い主はケースバイケースでの対応になります。どうしたらいいのか戸惑い、復職したい本人とのやりとりに苦慮することも多くあるでしょう。鈴木医師の記事は対応の手順がわかりやすく解説されていて大変参考になります。私もお客様からのご相談に社労士としていいアドバイスができるように、この連載でしっかり勉強したいと思います。